食品安全基礎用語解説

前提条件プログラムとは

前提条件プログラム(又は一般的衛生管理プログラム)とは

ここでは、前提条件プログラム(又は一般的衛生管理プログラム)についてご説明します。

1.前提条件プログラムとは何か。


 前提条件プログラムとはHACCPシステムを効果的に機能させるための前提となるプログラムである。


言い換えれば、HACCPシステムによる衛生管理の基礎として整備しておくべき衛生管理のプログラムのことで、施設・設備の構造、保守点検・衛生管理、機械器具の保守点検・精度確認・衛生管理、従業員の教育訓練、製品の回収などの衛生管理に関わる一般的事項がこれに該当する。

2.なぜ前提条件プログラムが必要とされるのか。


 HACCPシステムは、それ単独で機能するものではなく、包括的な衛生管理システムの一部であり、HACCPシステムによる衛生管理を効果的に実施するためには、その前提として食品の製造に用いる施設設備の保守点検などの一般的な衛生管理が確実に実施されることが必要である。

それらについて、その実施方法(作業内容)、実施頻度、作業担当者、実施状況の確認並びに記録の方法に関する具体的な計画文書を作成整備する。


ハザードの発生防止上極めて重要な工程管理に注意を集中させたのがHACCPシステムの概念ですので、CCPだけに注意を集中しても、衛生管理の土台となる製造環境、原材料・包装資材の保管管理、従事者の衛生管理といった部分が疎かになってしまえば、食品の安全性確保は困難になってしまう。従ってCCP管理に注意を集中できるように、製造環境からの汚染を効果的に予防することによってHACCPシステムは初期の目標を達成できるのです。

CCPが屋根の部分とすれば、一般的衛生管理プログラムはまさしく土台と柱に相当するものです。

3.一般的衛生管理プログラムの対象となる事項について


1)施設の保守点検及び衛生管理

2)設備及び機械器具の保守点検及び衛生管理

3)食品等の衛生的取り扱い

4)設備及び機械器具の洗浄殺菌

5)従事者の衛生教育及び衛生管理

6)そ属・昆虫の防除

7)使用水の衛生管理

8)排水及び廃棄物の衛生管理

9)製品等の試験検査に用いる機械器具の保守点検

10)製品の回収方法


4.一般的衛生管理プログラムの内容について

アメリカの場合は、GMP(Good Manufacturing Practice)

カナダでは、PP(Prerequisite Program) 日本では、食品衛生法第19条の18に基づく管理運営基準・衛生取扱規範・企業における作業標準などに盛り込まれた衛生管理要素の体系的な文書がそれである。特に決められた様式はないが、各企業における現状の作業標準などの内容点検、見直しなどを行うとともに計画(文書)を体系的に整備することである。ISO22000では、前提条件プログラム(PRP)としている。

5.内容についての具体的な事項

1)   施設、付帯設備の要件、保守点検及び衛生管理と排水・廃棄物の衛生管理について

次の施設、付帯設備について、構造上の要件および保守点検と衛生管理(実施計画と記録)を定める。

1.立地

2.建物の周囲

3.建物の外部

4.建物の内部

・広さ、構造、区分についての構造上の要件

・床、内壁、天井、扉、窓についての構造上の要件と保守点検および衛生管理

5.高度清浄区画

6.出入り口

7.換気、空調、照明設備

8.給水、給蒸気設備

9.排水設備

10.手洗い設備

11.その他の衛生設備

12.付帯設備(屋外設備を含む)

・排水処理設備や廃棄物処理設備

13.実施計画と記録

・実施計画は、1~12の各施設・設備の保守点検および衛生管理について、事項ごとにその実施方法と頻度、担当者、確認方法を盛り込んで計画書を作成して実施する。

・記録は、結果について実施内容またはモニタリング結果、実施または観察日時、担当者氏名、採られた措置などを文書に記録して1年以上保管すること。

・要点として、

*施設の周囲、施設設備、天井・内壁、換気・空調設備などは定期的に清掃、点検し清潔に維持すること。

*照明設備は定期的に清掃し照度測定を定期的に行う。

*窓・出入り口は開放しないこと。

2)設備及び機械器具の要件ならびに保守点検及び衛生管理について

1.一般原則

設備および機械器具は、衛生上の危害が避けられるような構造・材質で、保守点検及び衛生管理が容易にできるように設計・組み立て・管理がなされていること。

設備および機械器具の使用にあたっては、保守点検及び衛生管理計画書を作成し、責任者を設置して管理運用する。その実施結果を記録し保管すること。

(1)     構造および機能上の要件

①構造について

②材質について

③表面処理について

④機能および数について

(2)     保守点検及び衛生管理

①保守点検について

②衛生管理について

2.各工程に用いる設備および機械器具

(1)     原料受入設備・原料保管設備

①秤量器・計測器

②ポンプ

③ろ過器

④冷却装置

⑤タンク

⑥倉庫

(2)     製造設備

①原料溶解装置

②抽出装置

③均質化装置

④プレート式殺菌装置

⑤チューブ式連続殺菌装置

⑥紫外線殺菌装置

⑦タンク類

⑧金属探知機

などについて、構造および機能上の要件と保守点検及び衛生管理項目について箇条書きに書けば良い。

(3)     充填包装設備および機械器具

①容器供給装置

③器洗浄装置

④填機

⑤巻締め機・シール機

⑤殺菌機・滅菌機・冷却機などについても構造および機能上の要件と保守点検及び衛生管理項目について箇条書きに書けば良い。

(4)     送液設備および機械器具

①パイプ・バルブ

②ポンプ

③ラインフィルター

④流量計なども同じ。

(5)集積外包装設備および装置・機器

①包装機

②ラップ機・バンドマチック機など。

(6)製品搬送設備および装置・機器

(7)容器包装材料保管設備の保守点検および衛生管理

(8)洗浄設備

①CIP装置

②手作業による洗浄機械器具

③その他の洗浄装置

3)食品等の衛生的な取扱いについて

1.一般原則

原料・包装資材などの受入保管、製造、製品の保管などは、あらかじめ定められた衛生管理計画(標準衛生作業手順書SS0Pなど)に基づいて適正に実施する。

この衛生管理計画には、作業内容、方法、手順、頻度、担当者などが決められていること。また、これらの実施結果を記録・保管すること。

2.各食品ごとの衛生管理

工程ごとに作業に関わる衛生管理項目を箇条書きに記述するのが、オーソドックスな方法。

4)設備および機械器具の洗浄・殺菌について

この箇所は、品質保証課のメンバーにとって非常に関わりが深くなりますので、詳しく書きます。

1.一般原則

(1)     洗浄・殺菌対象ごとに、次の事項が含まれる洗浄・殺菌計画を作成して、管理運用する。また、これらの実施結果を記録・保管すること。

①洗浄・殺菌対象

②方法

③使用する洗剤の種類・濃度・温度・必要流量・時間

④頻度

⑤担当者

(2)     洗浄・殺菌計画は、十分な効果が得られることを予め検証した上で作成すること。

2.CIP装置による洗浄・殺菌

(1)     すべての洗浄対象物に対し、その必要とされる流量が確保されるように設計されていること。

(2)     スプレーノズルからの噴射状況が良好で循環中タンク内に滞留する液面を出口部分より一定の高さ以下に保持できること。

(3)     間欠運転ですすぎが行われる時は、一時的にほとんど滞留がなくなるように調整すること。

(4)     CIP中は洗浄ラインの内圧を点検し、圧力が過大にならないように適切に管理すること。

(5)     洗剤は、適切な温度および濃度で使用されていることを確認すること。

なお、温度についてはCIP中の都度、濃度については定期的に滴定により確認すること。また、洗剤の活性・汚れの程度を定期的に検査すること。

(6)     その他CIP装置の運転管理マニュアルに従って適切に管理すること。

(7)     あらかじめ設定したCIPプログラムの条件から逸脱した場合は、同プログラムの適切なステップから再度、洗浄を開始すること。

(8)     典型的なCIPプログラム(製品によっては酸・アルカリの順もある。)

①タンクなどが空であることを確認する。

②清水(飲用適の水)ですすぐ。

③適切なアルカリ洗浄液の循環による洗浄。

④清水によるすすぎ。

⑤適切な酸洗浄液の循環による洗浄。

⑥清水によるすすぎ。

⑦純水など中身に使用している水による最終すすぎ。

⑧熱水・殺菌水などによる殺菌。(殺菌水を使用した時は、その後清水などですすぐ。)

⑨適用に際しては、必要な洗浄基準を達成するために①~⑧の要点についてのパラメーターを確立すること。このパラメーターは洗浄殺菌計画に明記し、品質管理の一部として監視すること。

(9)     CIPプログラムにおける注意事項

①「内容物の殺菌後の工程」の殺菌は、使用前に実施すること。

②マンホールのガスケット部分、三方コックなど通常のCIPでは十分な洗浄効果が期待できない箇所は、CIP洗浄後に分解し、手洗い・すすぎを行い汚染しないように注意して組み立て、CIP装置による最終すすぎを行うこと。

④プレートヒーターやUHT殺菌機などの接液部は熱変性した蛋白質や脂肪、有機・無機質の混在によりスケールが付着しているので、使用した洗剤は汚れが激しいので再利用せずに使い捨てが望ましい。

(10)CIP運転終了後タンク内や配管内の洗浄効果を定期的に確認、洗浄やすすぎが不十分な場合は、装置の改善や洗浄・殺菌プログラムの見直しを行うこと。

CIP終了後に加熱部の一部(カーブしたLボやTの字になった箇所チーズ)を分解してみて観察すると良く分かる。すすぎの水の細菌検査も有効だ。

3.手作業による洗浄・殺菌

CIP装置のないタンク、配管、CIPでの洗浄が実施し難い部分については、以下の方法で行う。

(1)     タンク・配管などが空であることを確認する。

(2)     清水によるすすぎ。

(3)     取り外し可能な部分については、分解・洗浄する。

(4)     表面を傷つけないような専用の洗浄器具を使い、手洗浄洗剤で表面を丁寧に洗い汚れを落とす。

(5)     清水ですすぎ、汚染のないように注意し直ちに組み立てることがポイント。

5)従事者の衛生教育および衛生管理

1.教育訓練計画

ここには、教育目的、対象者、内容、スケジュールを明記した教育訓練計画を作成し実施すると同時に状況の記録をする。

(1)     新人教育計画…この内容は例えば人事や総務部で作成してあるので、読めばなるほどと分かる内容。

(2)     継続的な教育訓練計画

各工程の製造責任者・モニタリング・改善措置や検証担当者に対し定期的に(1)の規定内容を再教育すること。その他講習会。セミナーに参加させて知識・技能の向上に努めること。

(3)教育訓練の記録

①受講者

②講師

③実施日時

④目的

⑤内容

⑥使用した教材・プリント・レジメなど。

⑦評価と課題

2.従事者の衛生管理

(1)     従事者の健康

(2)     従事者の手洗い

(3)     製造場で作業する従事者の作業着と衛生

(4)     従事者の行動

(5)     従事者の衛生に関する記録

例えば、服装チェック記録・手洗い、爪、装飾品チェックなど、健康診断記録、検便記録。

3.部外者の立ち入り(工場のセキュリティー規定など)

ここからは、品質保証課で文書整理してきた4項目についてですので、9月に課内資料にしたものをそのまま引用します。

6)そ族・昆虫の防除

1.  建物の構造上の用件…侵入防止装置について

2.  保守点検及び管理衛生

(1)  そ族・昆虫の管理プログラム

① 管理体制

② 管理責任者及び従事者の役割と責任分担

③ 管理を第三者に委託する場合は、委託業務の範囲、契約当事者の責任権限

④ 建物の周囲、建物、構造物、設備、機器が備えるべき要件

⑤ 使用する薬剤リストとその管理方法

⑥ 薬剤の使用方法

ア.  使用対象

イ.  使用場所

ウ.  使用方法 散布・塗布・くん蒸・その他

エ.  使用濃度

オ.  その他の注意事項

⑦ トラップの配置図

⑧ 管理プログラムの実施効果モニタリングのための点検方法と点検頻度

(2)  記録

① 薬剤の出納

② 防そ・防虫措置の実施

ア.  防除対象

イ.  実施日時

ウ.  場所

エ.  使用薬剤

オ.  薬剤の使用方法・濃度・回数・使用量

カ.  その他

③ 建物の周囲、建物、構造物、設備、機器が備えるべき要件に係る保守点検

* そ族・昆虫の管理プログラム表例は、PPマニュアルのP46参照。

7)       使用水の衛生管理

(1)  食品と接触する水・食品と接触する機械に用いる水の基準

(2)  水質検査の項目と頻度

(3)  受水槽の点検・清掃方法などの基準

(4)  配水管の基準

(5)  クロリネーション管理基準

(6)  冷却水の管理基準

(7)  履物殺菌水槽の管理

(8)  衛生管理担当者・責任者と点検項目・頻度を文章化して規定する。

(9)  実施記録の保管基準

以上を網羅した使用水の衛生管理規定を作成する。PPマニュアルp47参照。

1.  目的

2.  対象と適用範囲

3.  水質管理基準

4.  改善措置方法

5.  水質管理実施方法

実施項目・対象・担当者・実施頻度・実施状況の確認方法・記録・管理責任者

6.  公的検査機関による水質検査について規定する。

8)製品の回収

1.  回収計画システム

① 製品ロットの識別コードの表し方を具体的に文章化しておく。各製品毎。

② 出荷先・販売先の記録を調査するフローシートを作成する。

③ 苦情ファィルの作成

④ 回収チームの編成を決めて、連絡先のリストを作成しておく。

⑤ 回収の手順を図式化しておき、確認ができるよう配慮する。

⑥ 行政当局・販売先・消費者への連絡方法の規定と連絡網をリストにしておく。

⑦ 回収後の製品処理方法を文書化。

⑧ 回収の進捗状況と回収結果の総括

⑨ 補償措置…会社規定を明確にしておく。

2.  回収の開始

① 原因

② 対象製品

③ 流通地域

④ 数量などの報告がすぐに出きるようなフォーマットの作成。

3.回収後の措置

① 改善方法と実施手順

回収終了後に回収プログラムの修正が必要か分析項目を決めておく。

② 補償措置と実施手順

4.記録

(1)  回収製品に関する記録

① 名称・ロット

② 理由

③ 製造時のモニタリング記録

④ 最終製品の検査記録

⑤ 保管・出荷・流通に関する記録

(2)  回収作業に関する記録

① 対象製品の範囲

② 回収方法・消費者への告知方法とルート

③ 行政機関への連絡

④ 数量

⑤ 回収後の検査結果

⑥ 処分方法

⑦ 回収効果の評価と回収計画の見直しの有無

⑧ 回収に伴う補償内容の記録

5.苦情処理への対応状況(異常時の発生に備えて)

① クレーム対応方法

② 記録の保管規定・・どのような内容の記録を誰が何時どこで更にそれを誰が確認してどのように保管管理しているかを示すことができるように。

ア.  原材料の記録

イ.  工程の記録

ウ.  チェックリスト記録

エ.  検査記録

オ.  苦情の記録

9)製品などの試験検査に用いる機械器具の保守点検

1.  試験検査実施計画書の作成

①検体採取点の規定  原料受け入れ・密封工程・加熱殺菌工程・最終製品の微生物的、化学的、物理的評価試験、製造環境の衛生度、使用水の監視など。

②検査方法・項目について試験検査の作業標準書を作成。

③ 検体採取頻度

④ 検査項目の規定

⑤ 実測資料データと検査結果の確認方法の規定

⑥ 判定基準…規格中のパラメーターが適合する。

2.  試験検査による検証

① 原料・包装資材

② 中間製品・水・空気・蒸気。

③ 最終製品

④ 工場内の微生物モニタリング

⑤ モニタリングに使用する計測機器の精度を検証する検査項目と方法を規定する。

3.  試験検査設備の構造と機能上の要件

基準を決める。

4.  保守点検

(1)  試験検査室の管理基準

(2)  機械器具の管理基準

(3)  試薬の管理方法の基準

(4)  検体の取り扱い注意事項の規定

(5)  結果の処理方法

結果通知の作成に当たっての確認事項

① データ

② 結果を算出した根拠

③ 検出限界と定量限界

④ 標準作業書からの逸脱と検査結果への影響

⑤ 過去の検査結果との関係

検体毎の通知

① 採取箇所

② 名称

③ 採取年月日

④ 検査項目

⑤ 検査方法

⑥ 結果

⑦ 通知の発行年月日・番号

⑧ 検査責任者氏名

保管基準書の作成

5.  精度

① 微生物学的試験検査

② 理化学的試験検査

③ 公的検査機関または、自社の他の検査機関とのクロスチェック。

 
 
 
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