食品安全基礎用語解説

HACCPとは

HACCPとは

食品衛生管理を保つ方法として、従来からHACCP(ハザード分析および重要管理点)の手法が多く使われます。まずは、あらためてHACCP とは、どのようなものか を説明します。

(1) HACCPの沿革

 HACCP は、1959 年~1960 年代、米国のビルズベリー社が宇宙食の安全確保のために構築しました。アポロが月をめざしていた時代のことです。宇宙に持っていく食料すべての検査を行おうとしても、それは不可能なことでした。なぜなら、検査で開封してしまうからです。だからといって、代表的な品物をサンプル検査しても、すべてが絶対に安全であることを保証することはできなかっ
たのです。
そこで開発されたのが、HACCP システムです。日本語では、「ハセップ」「ハサップ」「ハシップ」などと発音されています。
つぎに、その内容について説明します。

(2) HACCPシステムの3つのポイント

 HACCP システムの内容を、もう少し具体的に説明すると、つぎの3点に要約できます。
●危害発生の原因となるハザードを予防するシステムであり、ハザードが発生した後に対応するためのものではなく、生物学的、化学的、物理的なハザードの発生を防ぐために自工場を正確に診断する道具である。
●ハザードの発生をゼロにするシステムではない。しかし、食品の安全性を侵す可能性のあるハザードの発生を最小限にするために設計されたものである。
●従来のように最終製品の検査に依存するのではなく、安全性の確認から工程管理、特にCCP(重要管理点)の管理状況のチェックに集中することである。

(3) 従来方式との違い


従来の管理方法は、図のように最終製品の検査に重点をおいた衛生管理方法です。
それに対してHACCPシステム は、ハザード分析(HA:Hazard Analysis)とCCP(Critical Control Point:重要管理点)の監視からなる食品衛生の管理手法となっています。
原材料から製造・加工、最終製品の保管・流通にいたるすべての工程で、発生するおそれのあるハザード(危害が発生する要因)を明確にし、ハザードを制御することにより製品の安全確保を図るという、ハザード発生の予防に力点をおいた衛生管理の手法です。
具体的には、私たち自らが、食品の原材料の生産から、製品の製造・加工・流通・消費にいたるすべての工程で発生するおそれのあるハザードの原因物質を特定し、これらのハザードの起こりやすさ、起こった場合の被害の程度などを含めて評価し、その防止措置を明らかにします。これがハザード分析(HA)です。
また、この分析結果に基づきハザードを制御するため、重点的に管理すべき工程(CCP)を定め、このポイントを管理するための限界値(許容限界= CL:Critical Limit)を決め、管理状況を集中的かつ常時モニタリングします。そして、管理基準の逸脱が認められれば速やかに改善措置を講じ、これらの管理内容をすべて記録に残すとともに、定期的にシステムの有効性を見直すことにより、
安全性が保証されない製品が流通過程へ入ることを未然に防止する手法です。

では、HACCPシステムを導入すると、どのようなメリットが得られるか。
1.自工場で製造する食品の安全性がより一層向上する。
2.企業の社会的な信頼が高まる。HACCPを取り入れているということだけで評価が違う。
3.このシステムにおける衛生管理に含まれるモニタリングやその記録保管は、製造者自らの製造物に対する責任に関し立証できることになる。
4.行政庁(保健所など)による監視・指導・消費者からのクレームなどにも適切な対応がしやすくなる。

ハザード分析の注意点

 そこで、ハザード分析の注意点は、つぎのようになります。

1.ISO22000:2018箇条8に沿ってハザード分析を実施すると、次の項目が含まれていることを認識しておく必要があります。
・ハザードの特定(ISO22000:2018の8.5.2.2)
・許容水準の決定(ISO22000:2018の8.5.2.2)
・ハザードの評価(ISO22000:2018の8.5.2.3)
・重要な食品安全ハザードの特定(ISO22000:2018の8.5.2.3)

①ハザード分析の最終目標は、最終製品を摂取したときに食品衛生上のハザードが発生する可能性のある原材料や工程を特定して、それらを管理することですから対象となる「重要な食品安全ハザードの特定」をしてから、その上でCCP(重要管理点)を決定し、適切な許容限界(CL)、モニタリング方法、改善措置(修正や是正処置)を設定するための情報を収集する目的があります。

②運用(製造)するなかで新たなハザードを見いだすことがあり、このときにも新たな分析をする必要があります。

③ハザードやそれを制御する処置や活動である管理手段を記載したリストを作成することです。管理手段とは、各ハザードに対し許容できる水準まで低減する、または除去するなどの管理方法です。

HACCPの7原則・12手順で現場管理を行うことが重要です。
そのためには正しい方法で進めることです。
HACCPの正しい手順が、12の手順にしたがって構築・運用することです。手順1〜5は、手順6ハザード分析(原則1)のための準備段階です。ここでは、実際に1〜5の順にしたがって、具体的な作業上のポイントや注意事項について説明しましょう。

ハザード分析のための前段階(HACCPシステムの計画を作成する準備段階)

 適切な衛生管理を行い食品の安全を保証するためには,食品企業としてその目的意識と推進意欲を明確にしなければなりません。近年、経営トップの指示・無関心による不適正な表示、産地偽装などが多発しており、再発防止が強く求められています。そのためにはまず、経営トップのHACCP システム導入への明確な意思決定と決断力がもっとも重要なことは言うまでもありません。

企業方針として導入を決定してからは,HACCP システムに基づいた衛生管理の計画書であるHACCPシステム計画を作成します。この計画による衛生管理を適正に実施していくために、組織全体の目的遂行意識の維持と知識レベルの維持・向上が不可欠になります。このため、HACCP チームメンバーをはじめ、現場作業員も含めた教育・訓練について、組織的、計画的、段階的に準備を進める必要があります。

HACCPシステム計画作成の準備として、下記のような手順を踏む必要があります。
ISO22000:2018の規格と関連性を保っています。


【コラム】
参考までにHACCPとISO9001(品質マネジメントシステム)との違いについてHACCPは、工程で発生する恐れのある危害を予測し、その危害を制御するシステムです。それに対して、ISO9001は、製造・加工の工程全般を適正に維持管理するシステムです。
ISO9001には、工程管理、検査・試験、品質記録の管理、内部品質監査、教育・訓練及び購買などの規格(要求事項)が定められていて、その運用に当たっては、運用の為の組織を明確にするとともに、これらの規格に従って品質管理活動全般を体系的に文書化し適正な活動レベルを維持管理することが求められています。従って、HACCPとISO9001は、その目的が異なるにしても適正な工程管理により製品の品質を保証する側面において共通点があります。

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