食品安全基礎用語解説

ISO22000とは

ISO22000とは(ISO22000の概要説明)

ISO22000規格制定の背景と特色

ISO22000とは、国際標準化機構(ISO)が発行した食品安全マネジメントシステム(FSMS=Food Safety Management Systems)の国際標準規格です。
正式名称は「食品安全マネジメントシステム-フードチェーンのあらゆる組織に対する要求事項」で、食品の生産から加工・販売に至るまで、あらゆる段階の組織に適用が可能です。

このISO規格は、食品を製造する企業と食品に関連する企業がHACCPシステムを活用して食品の安全性を確保するために制定されました。

食品の流通は国際化・複雑化が進んでおり、視覚・嗅覚・味覚など個人の感覚に頼る管理方法で対応することはできません。また、食品に関係した事故は作業者の勘違いや工程の不備に起因することが多く、設備投資による防止には限界があるとされています。
食品の安全性は消費者の健康と生命に直接関わるため、社会の要求も高いものになります。

HACCPとは、Hazard  Analysis and Critical Control Point:危害分析及び最重要管理点の頭文字を 取ったもので、食品の衛生管理手法の国際標準であります。

1959年~1960年代、USAのビルズベリー社が宇宙食の安全確保のために構築したことが始まりで、日本では、1995年厚生労働省が「総合衛生管理製造過程の承認制度」の中にHACCPの手法を導入しております。

 

世界保健機構(WHO)は消費者の健康被害からの保護と公正な食品取引を目的に、食品の国際規格を策定するための合同食品規格計画を推進するためにコーデックス(CODEX)委員会を設立しました。

1993年にコーデックス委員会がHACCPシステム導入のための指針”食品衛生の一般原則の規範”を発行しました。これらは、食品のハザード(危害発生要因)を管理する上で、食品安全のハザードは、生物的、化学的、物理的の3つに分類して、これらのハザードを管理するためにHACCP適用の7原則、12手順が考案された訳です。

一方わが国では、1995年に食品衛生法の中に”総合衛生管理製造過程”と云う承認制度でHACCPが5種類の食品群(乳・乳製品、食肉製品、清涼飲料水、魚肉練り製品、容器包装詰加圧加熱殺菌食品)が対象となり、政令指定とされています。

また、限られたこれらの範囲からHACCPは原材料の生産、製造や加工、流通、調理や消費に至る様々な段階で適用が可能なため、大量調理施設や外食産業などで自主的に導入されてきています。

それらの背景のもと、国際商取引の円滑化のための国際標準化(ISO)では、ISO9001でHACCPを活用するガイドラインすなわち”ISO15161:2001食品・飲料産業への適用に関する指針”を制定しました。しかし、食品の安全性を確保する観点から、ISO15161だけでは不十分という意見がデンマークから出て、食の安全を主眼とする独自の規格制定が望まれました。その結果ISO22000:2005が2005年9月1日に発行されました。

従いまして、ISO22000は、品質マネジメントシステムの国際標準規格ISO9001に、適正製造規範(GMP=Good Manufacturing Practice)やHACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)などの食品安全マネジメントシステムに関する規範・手法を組み合わせて定められており、危害発生の防止・検証・監視・改善といったプロセスの総合的な管理に役立ちます。

HACCPの歴史とISO22000:2005発行までの経緯

年 代

経    緯

1960年代 米国のアポロ計画で宇宙食を担当したビルズベリー社、NASA、陸軍ナティック技術開発研究所が共同で宇宙食から食中毒性細菌や毒素の問題を無くすためには、最終製品の検査ではもはや要求される安全性を達成できないことから、HACCPの概念を導入して宇宙食の製造管理を目指した。

1971年

ビルズベリー社がHACCPの具体的概念を第1回National Conference in Food   Protectionで発表した。

1973年

FDAで低酸性缶詰めのGMPを取り入れた。これは、危害の発生原因としては、ボツリヌス菌と缶の巻き締め不良による汚染の2つを想定したものであった。しかし、一部の大企業で自主管理の手法として取り入れられたが、広く普及するには至らなかった。

1985年

National Academy of Scienceから出された勧告は、haccpによる予防的なシステムが微生物学的な危害発生要因(ハザード)のコントロールにおいては必須であるというものであり、この勧告で再びhaccpが脚光を浴び始めた。

1987年

米国農務省食品安全検査局(USDA/FSIS)、米国商務省海洋漁業局(UADC/NNFS)、米国厚生省食品医薬品局(FDA)、陸軍Natick技術開発研究所、大学、民間からなる食品微生物基準諮問委員会(NACMCF)が設置され、HACCPに関する検討が加えられる。

1988年

国際微生物規格委員会(ICMSF)の勧告に基づき、WHOが食品国際規格にHACCPの概念を導入した。

1989年

食品微生物基準諮問委員会(NACMCF)からHACCPに関する指針が公表される。

1991年

EC指令:水産物HACCP規制

1992年2月

カナダ漁業商務省が世界で初めてHACCPベースのQuality Management Programeを実施した。

1992年

食品微生物基準諮問委員会(NACMCF)からHACCPに関する指針改定日本:HACCPに基づく食鳥処理場の衛生管理マニュアル作成

1993年

EUが全品目についてHACCP適用指令を6月に出した。FAO/WHO合同食品規格諮問(コーデックス:CODEX)委員会は、衛生管理手法としてHACCP導入を要求に推進すべきとの認識の下、導入の際の国際的ハーモナイゼーションを図るため、HACCP適用のためのガイドラインを7月に示した。

1995年

日本:食品衛生法改正により総合衛生管理製造過程承認制度の創設(任意制度)を10月に決定した。対象製品は、乳・乳製品、食肉製品、清涼飲料水、魚肉練り製品、容器包装詰加圧加熱殺菌食品FDA:魚介類及びその加工品に関する衛生規制の制定

1997年

FAO/WHO合同食品規格諮問(コーデックス:CODEX)委員会:HACCP適用のためのガイドラインが国際指針となる。

1998年7月

食品製造過程の管理高度化に関する臨時措置法(HACCP支援法)を施行

2001年

ISO9001に基づくISO15161(食品及び飲料産業におけるISO9001:2000適用のためのガイドライン)規格を11月に策定した。デンマーク:食品の安全管理を対象とした新たな規格の提案(新規作業項目)、ISO20543として規格策定が承認、後に規格の重要性から規格番号をISO22000に変更した。

2003年

FAO/WHO合同食品規格諮問(コーデックス:CODEX)委員会:HACCP適用のためのガイドライン改訂、ISO22000を委員会案(CD)への投票

2004年

EC規制:食品衛生規則の中にHACCPを導入した。ISO22000を国際規格案(DIS)への投票、最終規格案(FDIS)への検討過程で付属書をISO/TS22004として独立させた。

2005年6月

ISO22000:2005を9月に発行した。ISO/TS22004(食品安全マネジメントシステム-   ISO22000:2005適用のための指針)

2006年1月

EU規制により全ての食品のHACCPが義務化される。

2007年

ISO/TS22003(食品安全マネジメントシステム-食品安全マネジメントシステムの審査及び認証を行う機関に関する要求事項)を2月に発行した。ISO22005(飼料及びフードチェーンにおけるトレーサビリティーシステムの設計及び実施のための一般原則及び基本要求事項)を11月に発行した。
 

ISO22000:2005関連する規格

ISO22000の関連規格は、次表の通りです。ISO22000導入するに当たって、関連規格を正確に理解する必要があります。
規格番号 ISO規格名称・JIS規格名称 規格の概要
ISO22000 食品安全マネジメントシステム-フードチェーンの組織に対する要求事項 HACCPにISO9001の要求事項の一部を取り入れた。
ISO/TS22002-1:2009 食品安全のための前提条件プログラム-第1部:食品製造 食品製造業者が、ISO22000:2005のPRPに関する技術仕様書。PAS220:2008が基になっている。
ISO/TS22002-4:2013 食品安全のための前提条件プログラム-第4部:食品容器包装の製造 食品容器包装の製造業者が、ISO22000:2005のPRPに関する技術仕様書。PAS223:2011が基になっている。
ISO/TS22002-3:2011 食品安全のための前提条件プログラム-第3部:農業 農業従事者が、ISO22000:2005のPRPに関する技術仕様書。
ISO/TS22002-2:2013 食品安全のための前提条件プログラム-第2部:ケータリング ケータリング業者が、ISO22000:2005のPRPに関する技術仕様書。
ISO/TS22002-6:2016 食品安全のための前提条件プログラム-第6部: 動物飼料製造 動物飼料製造業者が、ISO22000:2005のPRPに関する技術仕様書。PAS222:2011が基になっている。
ISO/TS22003 食品安全マネジメントシステム-食品安全マネジメントシステムの審査及び認証を行う機関に関する要求事項 ISO22000の認証を行う監査機関の要件を定めることを目的とした技術仕様書、2007年2月に発行した。
ISO/TS22004 食品安全マネジメントシステム- ISO22000:2005適用のための指針 ISO22000の各条について一般的な解説や留意点を示した技術指針。追加的な要求事項は記載されていない。2005年11月に発行した。
ISO22005 飼料及びフードチェーンにおけるトレーサビリティーシステムの設計及び実施のための一般原則及び基本要求事項 ISO22519からの変更飼料及びフードチェーンを対象としたトレーサビリティーシステム構築のための要求事項。2007年7月に発行した。
ISO22006 品質マネジメントシステム-作物生産へのISO9001:2008の適用に関する指針 農業へのISO9001:2008の適用を示したガイドライン、2009年に発行した。
 

ISO22000:2005規格の概要

(1)  規格の概要

この規格は、安全な製品を作るための管理手段であるHACCPシステムにISO9001で用いられている継続的な改善の機能を付加した規格で、規格の骨格は概ねISO9001と同一であり、企業がこの規格を利用する際にISO9001と両立できるように配慮しています

(2)  規格の構成

第1章.適用範囲

第2章.引用規格

第3章.用語と定義

第4章.食品安全マネジメントシステム

第5章.経営者の責任

第6章.資源の運用管理

第7章.安全な製品の計画と実現

第8章.食品安全マネジメントシステムの妥当性の確認、検証および改善

食品安全マネジメントシステムを構築しようとしている企業が実施しなければならない(規格要求)事項は、第4~8章に規定しており、第7章がHACCPシステムに関する要求事項です。

(3)  キーとなる4つの要素

相互コミュニケーション

システムマネジメント

前提条件プログラム

HACCP原則

ISO22000:2005規格の序文には、消費(消費者による接取)の時点で、食品に由来するハザードの存在に関連する。食品安全ハザードの混入は、フードチェーンのあらゆる段階で起こり得るため、フードチェーン全体での適切な管理が必須であるとしています。

フードチェーンに属する組織は、飼料生産者、一次生産者から食品製造業者、輸送及び保管業者並びに下請負契約者、更に小売業及び食品サービス業(装置、包装材料、洗浄剤、添加物及び材料の製造業者など、相互関係にある組織も含む)にまで及びます。また、サービス提供者も含まれます。

ISO22000:2005規格は、最終消費に至るフードチェーンに沿った食品安全を確保するために、一般に認識されている4つの主要素を組み合わせた食品安全マネジメントシステムに対する要求事項を規定しています。

 

・相互コミュニケーション

全ての関連する食品安全ハザードを明確にして、これらをフードチェーン内のそれぞれの段階で適切に管理するには、フードチェーンに沿ったコミュニケーションが必須となります。これは、フードチェーン内の蒸留と下流の両方の組織間のコミュニケーションが対象となります。

 

明確にされたハザード及び管理手段についての顧客及び供給者とのコミュニケーションは、顧客及び供給者の要求事項(例えば、これらの要求事項の実現可能性や必要性、最終製品へのそれらの影響)が明らかになります。

最終消費者に安全な食品を届けるために、フードチェーン全体を通じた効果的な相互コミュニケーションを確実に実施するには、フードチェーン内における組織の役割や位置の認識が重要です。

図1にフードチェーンの利害関係者間のコミュニケーション経路の一例を示してあります。

 

・システムマネジメント

従来のHACCPだけでは必ずしも食品安全に対する十分な機能をはたしていなかったのは、なぜでしょうか。HACCPの手法にはマネジメントの仕組みの概念が無いからです。

最も効果的な食品安全システムは、構築されたマネジメントシステムの枠組みの中で確立されて、きちんと運用され、更新されて、組織の全体的なマネジメント活動につながっていきます。このことにより組織や利害関係者に最大の便益をもたらします。ISO22000:2005規格は、ISO9001との両立性を高めるように構成されています。

また、他のマネジメントシステム規格から独立して適用することもできます。

その実施は、既存の関連するマネジメントシステム要求事項と合致させたり、統合したりすることもできます。

この規格の要求事項に適合させるために既存のマネジメントシステムを活用することも許されています。

 

・前提条件プログラムとは

一般的衛生管理プログラムとは,衛生的作業環境を維持することにより,HACCPシテムの導入を一層容易なものにして,その効果を高めるために整備しておくべき衛生管理の基礎として不可欠な要件です。

ISO22000:2005規格では、これを前提条件プログラム(PRP:Prerequisite Program)としています。

コーデックス委員会では,食品の安全性確保は,まず衛生的な食品取扱環境の確保が基本であるということから,安全で良質な原材料の確保を含めた「食品衛生の一般的原則の規範」を示し,この内容をHACCPシステム適用の前提条件プログラムと位置付けています。    2004年に,厚生労働省はコーデックス委員会の「食品衛生の一般的原則の規範」の内容等を参考に「食品等事業者が実施すべき管理運営基準に関する指針(ガイドライン)」を示し,一般的衛生管理プログラムについて国際的調和を図っています。

コーデックス委員会の「食品衛生の一般的原則」8要件は、次の通りです。

1.一次生産(原材料の生産)

2.施設:設計および設備

3.食品の取扱い管理

4.施設:保守管理および衛生管理

5.食品従事者の衛生

6.食品の搬送

7.製品の情報および消費者の意識

8.食品従事者の教育・訓練

一方、ISO22000:2005規格では、これを前提条件プログラム(PRP:Prerequisite Program)と称し、次の項目を確立し実施し維持することを要求しています。

ハード面

建物や関連施設の構造と配置

作業空間や従業員施設を含む構内の配置

空気、水、エネルギーやその他のユーティリティーの供給源

廃棄物や排水処理などの支援業務

装置の適切性、清掃、洗浄、保守、予防保全のしやすさ

ソフト面

購入資材、廃棄、製品の取扱い管理

交差汚染の予防手段

清掃・洗浄、殺菌・消毒

そ族・昆虫の防除

要員の衛生

その他の側面

・ HACCP原則

HACCPは、正確なハザードを明確にして管理する方法を決定して維持する手法ですから、この方法を用いる優位性を主眼においております。
ISO22000:2005規格では、HACCPの7原則、12手順の考え方を、そのまま要求事項としており、食品安全マネジメントシステムを確立するには、HACCPの考え方が極めて効果的であることを示しています。

 

(4) ISO22000:2005規格の特長

食品の安全性と品質を支えるために、従業員全体で行う重要なPDCA管理サイクルを図に示しました。この活動は特別なものでなく、すべての会社で行える品質管理手法です。

品質管理活動は、計画(Plan)、実行(Do)、検証(Check)、改善措置(Act)の頭文字をとったPDCA管理サイクルです。品質管理活動では、製品の安全性、品質向上、効率的生産活動などにおいてPDCA管理サイクルをもとに、継続的に改善を行い、より良い品質管理活動をするように努力することが必要です。

Plan-Do-Check-Act(計画-実行-検証-継続的改善の措置

 

ISO22000:2005規格の認証と総合衛生管理製造過程の承認制度

これまで、厚生労働省の総合衛生管理製造過程では、承認業種が限定されており、それ以外の食品を取り扱っている組織では、承認を得ることが不可能でした。

ISO22000:2005は第三者監査により認証する規格ですので、全ての食品関連組織が取り組むことが可能です。もう既に ISO9001を取得している組織では、食品安全リスクを強化するためにリスクマネジメントの道具として、ISO22000:2005を活用することができます。

更に、厚生労働省の総合衛生管理製造過程の承認制度では不足しがちな継続的な仕組みの改善が可能となります。

 

ISO22000の改定と変更

改訂のポイント

ISO9001は、2015年に大幅な改定がされました。
次のように、統一された上位構造High Level Structure(HLS)に変更されました。
ISOは、2012年に全てのマネジメントシステム規格に共通フレームワークを適用することを決定した訳です。

・統一された上位構造(HLS)
・共通のテキスト及び用語
・各マネジメントシステム規格は、追加の「規格特有」要求事項が追加されている。

改訂の共通事項

・状況や目標に関連した「リスク」及び「機会」への取り組み
・顧客要求事項、適用される「法令規制要求事項への適合」を一貫して提供
・顧客満足を向上させる機会
・品質マネジメントシステム要求事項への適合を実証
なぜ、このように統一したかというと、主な利点として次のことが挙げられます。

・規格間の整合性の強化
・新たな規格の導入を容易にする
・マネジメントシステムの統合を容易にする
・利用者の価値を増加させる
・技術委員会の規格開発の有効性を改善する

品質マネジメントシステムとその他の規格の関係性

マネジメントシステムの基本は、品質マネジメントシステムに規定されています。
この基本から必要な規格へ波及したと言えます。最近の規格普及のトレンドは、安全のキーワードになっています。


ISO9001:2015は、ISO9000:2015に規定されている品質マネジメント原則に基づいています。

ISO9001:2015には、下記の内容が含まれている。
・7原則の説明
・組織にとって原則が重要であるとの根拠
・原則に関連する便益の例
・原則を適用する時に組織のパフォーマンスを改善するための典型的な取り組みの例
※ISO9001:2015品質マネジメントシステム-基本及び用語を使用すること。

ここで、品質マネジメントの原則とは、下記の7原則となる。

では、ISO22000:2005から何が変更されたかについて主な変更点を示します。

ISO220000:2018に組み込まれるISO22000:2005に対する変更は、次の項目にまとめられる。
・HLS適用による変更
・ISO22000:2005からの規格特有の変更

HLS適用による変更点

HLS適用の結果として、規格の構造及び箇条は、大きく変更された。
前後の版で要求事項が変更されていない場合でも、その要求事項は、新たな箇条/サブ箇条に割り付けられている。
意図した成果を達成するためのマネジメントシステムの能力に影響する要因を特定し理解することに貢献する、以下を含む組織の状況の理解のための新しい箇条、
・外部及び内部の課題(4.1参照)の決定と監視
・利害関係者のニーズ及び期待(4.2参照)の決定と監視
・意図した成果を提供するためのマネジメントシステムの能力や顧客満足に(好ましい、好ましくないに関わらず)影響しうるリスク及び機会に取り組むための処置を決定し、考慮し、必要な場合は実施するためにリスク及び機会のマネジメント(6.1参照)
・「リーダーシップ」及びマネジメントのコミットメントの重視の強化(5.1参照) これは、マネジメントシステムの有効性について積極的に関与し説明責任を果たすことを含む改善のための原動力としての目的(6.2)及び測定、監視、分析、及びパフォーマンスの評価(9.1)の重視の強化
・計画された変更の管理及び意図しない変更の結果のレビューのさらなる強化(8.1)
・コミュニケーションに関連する拡大された要求事項(7.4):これには、外部コミュニケーション及びコミュニケーションの仕組みに関してのより詳細な規定(何を、いつ、どのようにコミュニケーションを実施するかの決定)を含んでいます。
・食品安全マネジメントシステム・マニュアル作成の要求事項はありませんが、文書化した情報の要求はされています。

その結果、構造の変化は、次のようになりました。

HLSの適用したことで、
箇条6:Plan+前提条件プログラム+HACCP適用の7原則・12手順による計画
箇条8:Do+システムの運用
箇条9:Check+システムの検証
箇条10:Act+システムの改善

この全体の構成を意識した上で、次の図を見ると、2つのPDCAサイクルが理解できると思います。
左の図は、社内で計画された目標の設定に対して運用した後に改善の度合いを測定して必要な改善を講ずる仕組みのPDCAです。
運用をする対象がPRPとHACCPになっていますので、右の図のようにハザード分析した結果とその中で重要な管理すべきハザードを管理していく運用とその監視した結果と必要な改善を図っていくPDCAサイクルになっています。ISO22000:2005年版より明確になっています。

 

ISO22000導入による期待できるメリット

技術的、科学的な根拠に基づく管理をして製品を保証する考え方でありますから、次のようなメリットが考えられます。


  • 食品安全に関するリスクを最小限に抑える事が可能
  • マネジメントシステムの範囲内で食品安全を明確にフォーカスされているので、リスク管理及び法令遵守のシステムが定着し強化できる
  • 食品安全の法規の遵守を強調している
  • 製品に影響を与える原料、材料、副資材及び製品に接触する材料などの食品安全ハザードを分析する事が更に強調している
  • 組織全体の食の安全への意識が向上する
  • トップマネジメントは食品安全に関する方針を明確にすることと外部・内部のコミュニケーションにより信頼性が高まる
  • トップマネジメントは組織に方針を説明し、組織全体で食品安全に関する運用の周知徹底を行う
  • 教育システムが確立され、重要な要員は確実な業務遂行ができ、社員全体のスキル向上が期待できる
  • 食品安全への取り組みを対外的にアピールできる
  • 国際的に認知された食品安全に関する規格であるIS0取得によるアピールが出来るためシステムに取り組んでいない組織よりイメージアップが期待できる
  • ISO取得による安心感から全く取引のない会社へのアプローチが容易になる
  • 今後、食品安全の世界的な指標となる
 

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